四十肩・五十肩はなぜ起こる?その原因と対処法

「四十肩・五十肩」は江戸時代の文献にも登場するほど古くから知られた病気で、特に日本においてはポピュラーな症状の一つです。中高年になったら多くの人に発症する可能性があり、「時間がたてば自然に治るだろう」と早く治すことを諦めていらっしゃる方も多いかもしれません。とはいえ、誰でもつらい痛みは少しでも軽くしたいのが心情。
現在進行形で痛みがある人も、そうでない人も「四十肩・五十肩」の原因や対処法を知り、痛みに備えておきましょう。

四十肩・五十肩ってどんな症状がでるの?

「四十肩」「五十肩」は医学的には「肩関節周囲炎」と呼ばれる病気で、一般的には発症する年齢が違うだけで、どちらも同じ病気です。
朝の整容で髪を整えたり、シャツを着る時に痛くて肩が上げられない、突然肩周辺に強い痛みを感じるといった症状が現れたら、それは「四十肩」「五十肩」が発症したサインかもしれません。

発症する症状によって病気の進み具合を分けると、なんの前触れもなく突然するどい痛みが発生する「急性期」と、鈍い痛みに変わり、肩の動きが制限される「慢性期」とがあります。
「急性期」では突然片側の肩周辺に、指先まで痺れるような激しい痛みが数日間~数週間続きます。
その後「慢性期」に入ると、肩が動かしづらい日が続き、痛みは鋭い痛みから鈍い痛みに変わります。

一般的には数週間から半年、長くても1年半ほどで自然に痛みが軽くなり、肩が楽に動かせるようになりますが、肩関節の動く範囲が狭くなって治ることが多いです。
痛みが繰り返し起こる場合や、六十歳を越えてから四十肩・五十肩の症状が出る場合、腕が震えるほど痛みがひどい場合には、違う病気が潜んでいる可能性もありますので、気になる症状がある時は早めに医師の診察を受けましょう。

痛みを引き起こす原因は?

四十肩・五十肩の発生原因は、未だはっきりと解明されていませんが、加齢に伴い肩の関節や筋肉、肩周辺組織に固くなったり縮むなどの変化が起こることで炎症や痛みを引き起こすと考えられています。
また、これらの直接的要因に加えて、普段の生活習慣やストレス、ホルモンバランスの変化といった間接的要因が重なることでも発症のきっかけになるとも言われています。

発症しやすい人と、発症しやすい条件

四十肩・五十肩は、四十代以降の人に発症しやすいという共通点があります。両方の病気とも共通の原因により、共通の症状を示す病気で、男女差、運動習慣のあるなしなどに差がありません。また、左右の発生率についても違いがなく、利き腕だから発症しやすいということもありません。
ただし若い時に、野球をはじめとしたスポーツで肩を酷使し、肩を痛めたことがある人は発症しやすい傾向にあります。また普段から猫背の人は重心が前のめりになり、体の歪みが生じやすいため、四十肩・五十肩のリスクが高まります。猫背になりやすい人は普段から正しい姿勢を意識しましょう。
また生活習慣が不規則で睡眠時間、寝不足、偏った食事、血行不良を招くハイストレスな生活習慣も同じく、四十肩・五十肩に良くないと言われています。

発症したらどう対処すべき?

突然激しい痛みに襲われたら?<急性期>

痛む肩を安静に保って痛みを我慢し、無理をして肩を動かすのは逆効果。激しい運動をする、重い荷物を持つなど痛みを伴う動きは避け、まずは安静に過ごしましょう。痛みが強い場合は、市販の鎮痛薬を服用するのもひとつの方法です。
「単なる四十肩・五十肩だ」と思っていたら、別の病気からくる症状だったというケースも。
放置すると痛みがひどくなることもありますので、気になる症状がある場合は軽視せず、一度整形外科を受診することをおススメします。

痛みが落ち着いてきたら?<慢性期>

発症から数日~数週間たって痛みが引いた慢性期には、日常の動作を積極的に行うように心がけましょう。またぬるめのお湯につかってゆっくり温めたり、カイロや温感湿布を当てたりして、肩を冷やさないようにしましょう。
睡眠中は、筋肉の動きが少ないため体が冷えやすくなります。肩関節が冷えると痛みが強くなることがありますので、布団から肩が出ないように、バスタオルや毛布を掛けるなど冷やさない工夫を。

四十肩・五十肩の予防方法は?

顔は毎日鏡でチェックするために、ほんの少しの傷もすぐに見つけることができますが、体の内部で起こる病変は直接人の目に触れないため、自覚症状が出るまでなかなか気がつかないもの。
発生の原因やメカニズム等まだ分かっていないところが多い四十肩・五十肩ですが、実はある日突然痛みに襲われるわけではなく、肩の内部から徐々に進行し、症状としては肩に違和感やしびれといった前兆がみられることが大半なのです。
このような肩の変化を見逃さないために、普段の生活から意識的に肩の声に耳を傾けましょう。

あまり知られていないことですが、四十肩・五十肩の発生率は、全身を伸ばすストレッチや適度な運動といった予防措置を習慣にするだけで、大きく変わってきます。出来る範囲で毎日続けることを目標に、腕の動かせる範囲を大きくして、それを維持するように心がけましょう。「痛くないから平気」「まだ若いから大丈夫でしょ」なんて油断している人は要注意です。

セルフチェックしてみましょう

自分の痛みは肩コリなのか?四十肩・五十肩なのか?気になる人は一度セルフチェックしてみましょう!
四十肩・五十肩が疑われる場合は、肩関節の動かせる範囲がかなり制限されます。

1両腕を前から、耳の後ろまでまっすぐあげる

2手のひらを上に向け、両腕を真横から真上に上げる

3両腕を腰に回す

4両腕を頭の後ろに回す

このような動作を行った際に、痛みを感じたり、なめらかに腕を動かすことができないといった場合は、四十肩・五十肩からくる痛みであることが疑われます。
気になる症状は軽視せずに、一度整形外科等の病院や診療所で診察を受けてみましょう。

おすすめストレッチ方法

どんなことでも“毎日続ける”というのはとても難しいものです。
しかし上述の通り、普段からほんの少しのストレッチを行うだけでも四十肩・五十肩の発症率は変わってきます。以下を参考に、できる範囲で楽しく続けて行きましょう。

1両方の肩をぐるぐると前後に10回まわします。

2両腕を前からまっすぐと上げて、耳の横につけてゆっくりと下ろします。

3肩を力いっぱい前にすくめたり、後ろに広げたりを繰り返します。

4両腕を横にまっすぐ伸ばし、そのまま肩より上に。この状態を30秒キープします。楽にできる人は、水を入れた小さなペットボトルを持って行いましょう。

※痛みや炎症がすでにある場合は、無理をせずにできる範囲で行い、ストレッチ中に痛みや異変を感じたら、すぐに中止して医師の診断を受けましょう。

<監修>
林 泰史先生
原宿リハビリテーション病院名誉院長

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