腰痛はなぜ起こる?その原因と対処法

4本足の動物から人間に進化し、2本足で歩くようになった時から腰痛が始まったとされ、このことから腰痛は人間の宿命だといわれています。
しかし、「宿命だから」といって諦めず、原因やその対処法を知ることで、”いつもの痛み”を解消していきましょう。

腰痛になってしまったら?

慢性的な腰痛の対処法

激痛ではないが、慢性的に腰が重たい、あるいは腰にだるさを感じる場合の対処法として、腰に負担をかけないようにして温めると楽になります。それにはゆっくりと入浴して温めたり、ストレッチやマッサージ、ツボ刺激などが効果的です。
痛みがひどい場合には、我慢せずに鎮痛薬で痛みを抑えるのも一つの方法です。ただ、症状は軽視せずに、一度整形外科等の病院や診療所で診察を受けることをおすすめします。

急な腰痛で、動けなくなった時の対処法

急な腰痛で動けなくなってしまったら、腰に負担がかからないようにできるだけ横になりましょう。ただし、無理をして横になろうとせずに少しずつゆっくりと動き、できる範囲で一番楽な体勢を取り、痛みが少し治まってから、ゆっくり身体を横にしていきましょう。
このとき、なるべく腰を回したり動かしたりしないよう気をつけ、腰の筋肉は使わないようにします。できれば、腰の痛む部分を冷やしたり、コルセットやさらしをまくことも効果的です。
痛みがひどい場合は一時的に鎮痛薬を服用し、速やかに整形外科等の病院や診療所で診察を受けることをおすすめします。

腰痛の症状と原因について

一般の腰痛

一般的によくみられる、日常生活の中での疲労が原因の腰痛は「慢性筋肉性腰痛症」といい、腰の骨を支える筋肉に疲労がたまった状態で、軽い症状ならばすぐに回復しますが、筋肉の疲労が積み重なると、腰の筋肉がこわばり、うっ血し鈍い痛みを常時感じるようになります。

ぎっくり腰

膝を曲げずに重い荷物や物を持ち上げたり、十分な準備体操なしで激しい運動をするなど、腰に急な負担をかけたときに感じる痛みはぎっくり腰(「急性筋肉性腰痛症」または「突発性腰椎捻挫」)の可能性があります。腰椎の周辺にある関節包や靱帯、筋肉、椎間板などを強く捻挫、あるいは大きく損傷した場合や、老化や長期間の腰への負担がある状態で、ちょっとした無理な動作が引き金となって起こります。

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは長時間の座り仕事や運転などで背骨に負担がかかっていたり、椎間板が老化していたり、骨盤の歪みなどがある状態で、急に腰に大きな力が加わることにより生じます。腰椎部分の椎体と椎体の間にある椎間板に亀裂が入り、中の髄核が押し出され、それが脊髄神経(神経根)を圧迫するため、激しい痛みを感じる病気です。
痛みは腰だけでなく、臀部から足にかけてひどい痛みやしびれを感じる坐骨神経痛などの症状があり、筋力の低下などを起こすのが特徴です。また、ひどい場合は排尿ができなくなることもあります。

腰部脊柱管狭窄症

立って腰が伸びた状態で、痛みやしびれが強く、背筋を伸ばして歩くと腰から足の裏にかけて痛んだり、足のしびれを感じたり、足がもつれたりする症状がある方は腰部脊柱管狭窄症が疑われます。
このような症状は朝や寒い季節に多く現れ、悪化すると背中を丸めて寝ないと痛くて眠れなくなります。生まれつき脊柱管の狭い場合もありますが、椎間板や椎間関節の老化などにより、脊柱管が狭くなり、脊柱管の中を通っている神経や神経根が圧迫されるために痛みやしびれが起こる病気です。40?50代以上、特に高齢者に多くみられ、女性より男性にやや多いのが特徴です。

変形性脊椎症

変形性脊椎症は、一般的に40歳以上で、若い頃から重労働を多くされてきた方や、激しいスポーツをしてきた方に多く見られます。腰椎を支える筋肉がこわばり、動作の時に痛みを感じますが、体を動かしていると軽減してくるのが特徴です。
痛みの直接的な原因は、椎間関節の老化、椎間板症、脊椎椎体からの骨棘による圧迫などにより起こるものと考えられます。疲れが溜まると再び痛みが出てくることもありますので、日常生活をする上で決して無理をしないことが大切です。

その他

腰痛は腰そのものが悪くなくても、内臓などの病気によって引き起こされることがあります。
泌尿器科疾患などのほか、悪性腫瘍の転移など重い病気の可能性もありますので、腰痛が長引くときや、寝ている時にも痛みがひどい時は、「たかが腰痛」と様子を見ずすぐに医師の診察を受けましょう。
また事故に遭ったり、転んだりと外部から衝撃を受けた後に現れる腰の痛みにも注意が必要です。例えば、高齢の方の場合、簡単な打撲だと思っていたのに、実は骨にヒビが入っていたということもあります。安静にしていても痛むときや、患部に熱がある、痛みが長引くというような場合は迷わずに整形外科の診察を受けることをおすすめします。

腰痛を予防する正しい姿勢とは?

日常的に行っている何気ない姿勢や動作が、慢性的な腰痛の原因になったり、急性の腰痛を起こす引き金になる場合があるので、日頃から姿勢には充分注意しましょう。
すでに腰痛のある人だけでなく、「まだ若いし私は大丈夫!」という人も、油断は禁物です。これから腰痛にならないためには、普段から正しい姿勢をとり、腰に負担をかけないようにすることが大切です。

正しい立ち方

立っている時、正しい立ち方を普段から意識していますか?正しい立ち方をすると、耳から肩・股関節・膝・くるぶしを結んだ線が、真横からみた時に直線で描かれていることが良いとされています。そのためには軽くアゴを引き、肩の力を抜き、腹筋に力を入れ、背筋、膝をきちんと伸ばしましょう。

正しい座り方

立っている時と同様に、座り方にも気を配りましょう。椅子に座る場合、浅く腰かけている人をよく見かけますが、腰には逆効果。お尻が背もたれに密着するように深く腰掛けましょう。
姿勢は軽くアゴを引き、背筋を伸ばしてお腹を軽く引き締めます。膝がお尻よりわずかに高くなるようにし、椅子が高すぎる場合には、足を台にのせるなど膝の位置を調節しましょう。
床や畳に座る場合、足が痺れるからといってあぐらをかく人もいると思いますが、実は腰に一番負担がかからないのは、正座なのです。ただし、この時も椅子に座る場合と同様に、きちんと背筋を伸ばして座りましょう。

正しい寝方

腰痛持ちの人は、寝方にも工夫が必要です。基本的にはご自分がリラックスできる姿勢となりますが、うつぶせの状態で寝ることだけは避けましょう。寝具もつい柔らかい方を選びがちですが、実は体が沈みこむまで柔らかな寝具は、お尻が沈み込んでしまうため避けましょう。
痛みがあるときは横向きで前かがみに、横を向いているエビのような姿勢で寝るのが一般的に楽な寝方とされています。仰向けに寝る場合は、膝の下に枕を置いて寝るなどの工夫をして腰の負担を軽くしましょう。

腰痛にならないために、気をつけたい3つのポイント

ポイント1同じ姿勢で負担をかけない

せっかく正しい姿勢を身につけても、長時間にわたり同じ姿勢を続けていると腰には大きな負担がかかってしまいます。
仕事で立ちっぱなしという方や、運転など長時間同じ姿勢を続けるという方は、時間を決めて少し歩いたり、椅子から立ち上がって、軽いストレッチをするなど、なるべく同じ姿勢を長時間つづけることは避けましょう。

ポイント2適度な運動をする

仕事が忙しい、運動が好きではない等の理由から、全く体を動かさないでいると、運動不足に陥り、筋力の低下を招きます。筋肉が衰えることで、腰を支える力がとても弱くなってしまいます。わずかな距離ならタクシーや電車に乗らずに積極的に歩きましょう。
歩くことで腰に大きな負担をかけずに筋肉を鍛えることができ、腰痛予防に効果的です。本格的に体を動かしたい方には、スポーツの中でも、腰に負担のかからない水泳がおすすめです。

ポイント3腰痛体操で筋肉をつける

まずストレッチで腰や下半身を柔軟にした後、上向きになって休みます。無理のない範囲で顔、肩、上半身の順に持ち上げ腹筋を鍛えます。その後、下向きになって休み、無理のない範囲で頭、肩、上半身を持ち上げ背筋を鍛えましょう。それぞれ、持ち上げている時間は3?5秒程度で、初めは3?5回を目標に、慣れてきたら朝夕10回ずつ行いましょう。腹筋、背筋を鍛えて、筋肉をつけると腰痛は著しく減少します。
最初は辛くてもだんだん筋肉がつき、楽にこなせるようになってきますので、途中で挫折せず頑張って続けましょう。

<監修>
林 泰史先生
原宿リハビリテーション病院名誉院長

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